数学解答記述の図形化による学習者の思考錯誤を促す学習支援システム
代表者名
黒川 魁
大学
東京工芸大学
チーム
東本研究室-Mathematics Pi.Pi-
応募カテゴリ
システム・ツール・アプリ
研究内容の概要
学びにおいては,自身の理解を確認しながら学べる試行錯誤環境が重要である.しかし,通常の学びにおいては「ただ覚える」「決まった手順で確認する」ことが多く,自分の理解をテストできる環境がない.本研究では,数学の分野を対象に学習者の解答文を元に,それを図形に変換してくれるシステムを開発する.これにより,自分の回答文の意味をイメージできるようになり,また誤りは自発的に気づけるようになる.
概要説明ファイルはこちら↓
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支援対象
1.支援している活動:高等教育
2.学習内容:数学
3.支援の意図:知識の習得, 理解の促進, スキルの獲得
4.学習規模:個人
研究の斬新さ、独創的な点
授業やMoodleなどのe-Learning環境では,学習者は自分の解答が正しいかどうかを確認する手段は正解を知るしかない.しかし,正解を知るとどこが間違っていたのかがわからず,自分の解答を捨て正解の方を覚えてしまう.本研究では,学習者の解答を誤答であっても図に変換するシステムを開発することで自分の解答の意味を確認しつつ学習が行える.特に数学などの抽象的な内容で試行錯誤を実現した研究は類を見ない.
研究が与える影響
通常の学習では,解法を暗記するだけ問題が解け,深い理解につながらないことが多い.本研究は,プログラムの「コンパイラ」のようにシステムが解答を図形に変換(コンパイル)し,さらにその図形を操作させる二段階のフィードバックを学習者に与えることで文と図形の関係性について指向錯誤できる環境を実現した.このように様々な科目・領域における試行錯誤環境を用意することは深い理解を促進するために有益な試みである.
研究の社会的価値
学校では正解がある問題ばかりで,正解を導く解法を覚えれば高得点が取れる.しかし,社会では正解が定まっていない問題が多く,思考・試行し,より良い方法を模索することが重要となる.本研究のように,自身で試行錯誤し,より適切な解答を導く訓練を促進する学習支援システムは社会的にも価値が高いと考える.今回は数学が対象だが,関連研究では生物,英語などを対象としたものもあり,今後はさらに領域を広げる予定である.