ネットワークの仕組みを体験的・自律的に学べるWeb教材: 通信プロトコルシミュレータProtoSim

チーム

浦西研究室

学校名

大阪大学

代表者名

北村祐稀

概要

 ご存知でしたか? 実は今,高校生は授業で,ネットワークの仕組みを学んでいるんです.共通テストでも出題される高校の科目「情報Ⅰ」のカリキュラムを見ると,情報通信ネットワークの仕組みや,構成要素,プロトコルの役割について理解すると書かれています.ですが,これは決して簡単ではありません.
 なぜなら,通信は目に見えず,具体的にイメージしづらいからです.また,抽象的な概念が複数出てきますが,それを自分が理解できているのか自己評価するのが難しいということも課題です.
 そこで本研究では,高校生でも使える平易なシミュレータで通信データを可視化する方法を新たに開発しました.また,このシミュレータを用いた問題をシステムに搭載し,自動正誤判定やヒントなどの支援機能を組み合わせることで,自律的に学習できるようにしました.
 ProtoSimの学習効果は,複数回の教育実践によって明らかにされています.ある実験では,ProtoSimを用いる前後で記述式の小テストを実施しました.事前テストでは,使用されていた専門用語が限定的でした.一方事後テストでは,様々な専門用語を交えてネットワークの仕組みを説明できるようになっていたことがわかりました.また,ミッションの達成数の推移をみると,人によってミッションが解けたタイミングがバラバラです.教員の指示で一斉に同じことに取り組むのではなく,自律学習支援機能のおかげで各自のペースで演習を進められていたことがわかりました.こうした学習効果は学術的にも高く評価され,情報処理学会情報教育シンポジウムでは最優秀論文賞を受賞しました.
 ここまで見てきたように,本研究ではシミュレータによる可視化と,ミッションなどによる自律学習支援という2つの新技術を組み合わせていました.このアプローチは汎用的なものであり,現在はネットワーク以外の分野への適用についても研究を進めています.
 社会的価値について,ProtoSimの開発チームでは,高校教員が多く集まる場などを活用したアウトリーチ活動に取り組んでいます.Webですぐに使用できるというハードルの低さもあって,多くの先生方に関心を持っていただいています.また,メディアでも取り上げていただく機会がありました.その結果,昨年の利用者数が 18 歳人口の 1% を超えるなど,着実に学校現場へ普及し,大きなインパクトを与えています.今後も利用者数を増やすための取り組みを行っていく予定です.

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