VRと香り発生装置による古典文学上の「恋」ができるシステム
大学
共立女子大学
代表者名
今村紗彩
チーム
文芸学部 谷田貝研究室 日本文学研究班
応募カテゴリ
システム・ツール・アプリ
研究タイトル
VRと香り発生装置による古典文学上の「恋」ができるシステム
研究内容の概要
文学において時代背景や文化・社会を理解することは欠かせない要素である。
本研究では、古典文学の「恋」の美しさを理解することを目的とし、中でも雅趣に富み中心的でミステリアスに描かれることが多い姫君に焦点を当て、各作品世界と当時の現実世界を対比して体験し理解できるシステムを開発する。本システムにより、常に御簾で仕切られほとんど姿を見ることができない姫君に疑似的に「恋」をすることが可能となる。
支援対象
1.支援している活動:中等教育, 生涯学習, 日常的学習
2.学習内容:学び方, その他 古典・歴史・平安文化
3.支援の意図:知識の習得, 理解の促進, 疑似体験, 教材・教育方法の改善
4.学習規模:教室規模
研究の斬新さ、独創的な点
古典文学の「恋」を理解するには姿そのものではなく、「所作」「教養」「香り」が重要である。姫君は日常ほとんど立つことが無く和歌や琴の研鑽に励んでいた。また個性を表現する方法が花や香の「香り」であった。
本研究ではVRと香り発生装置により各作品および実際の姫君の日常を再現し、所作及び和歌や琴の音に合わせて花や香の「香り」を連動して発生させる。これにより各作品世界と当時の現実世界の姫君を比較体験できる。
研究が与える影響
文学で大切なのは心が動かされることである。しかし、内容理解が乏しいと情動が変化するには至らず、作品を読み続ける原動力が失われてゆく。平安貴族は恋多き生活をしていた。しかし、ほとんど外出せず常にシルエットしか見ることができない姫君がどうしてたくさん「恋」をすることができたのか。本システムは姫君への「恋」を疑似的に体験することにより情動を喚起し各古典作品への高い興味を引き出せるものである。
研究の社会的価値
現在、難解な古典文学に触れる機会は学校教育が主であり、学習者の目的も受験のためが大半である。よって、純粋に文学として古典を堪能する機会や意欲がほとんどないのが現状である。本研究で提案するシステムは、単に教科教育の1教材にとどまらず、それぞれの作品背景を体験的に知ることができ、「恋」をキーワードに原典への興味やファン意識を喚起し、古典読解を単なる受験科目から趣味に昇華できるものである。