コロナ禍における臨地実習の代替となる教育方法の検討
大学
神戸大学
代表者名
ウイリアムソン彰子
チーム
神戸大学医学部附属病院看護部
応募カテゴリ
システム・ツール・アプリ
研究タイトル
コロナ禍における臨地実習の代替となる教育方法の検討
研究内容の概要
本プロジェクトは、新型コロナ感染症拡大の影響により臨地実習が困難となった看護学生に、臨地実習が出来ない状況でも学びの場を提供することを目的に実施された。学生用に模擬のカルテシステムを構築し、臨床指導者が作成した実臨床に添った模擬患者事例を収納した。学生は模擬カルテステムから日々変化する患者情報を得て、看護ケア計画を提出し、指導者からコメントを受け取ることができる双方向性の対話型学習を可能とした。
支援対象
1.支援している活動:高等教育, インターネット学習, 研究活動, 医療
2.学習内容:コミュニケーション, その他 看護の専門職思考の展開
3.支援の意図:知識の習得, 理解の促進, 疑似体験, 教材・教育方法の改善, 学習データの分析
4.学習規模:大学規模
研究の斬新さ、独創的な点
院外からアクセスできる患者カルテシステムが存在しなかったことから、本模擬カルテシステムは前例のない取り組みである。本システムの新規性は、「患者情報提供範囲をコントロールできること」であり、これは現実社会では不可能であった。また、「学生と指導者のコミュニケーションを双方向性」としたことで高い学習効果が確認された。学習目標の達成度をシステムで収集しており、システムおよび教材の改善に活用している。
研究が与える影響
学生が提出した自己評価では、臨地実習で学習目標としていた53項目中48項目で80%以上の達成が確認できた。
これまでの「実習は臨地で行うもの」という固定概念から、遠隔であっても効果的に学修させられることが確認され、看護教育における臨地実習の意義や目的、実施内容を再検討する必要性を提示する資料となる。
アフターコロナにおいても質の高い専門職を育成する為に基礎教育や卒後教育で活用できる教材である。
研究の社会的価値
本システムは既に実装している。
看護教育カリキュラムで大きな時間数を締める「臨地実習」については、実習フィールドの確保が大きな課題であった。
大学の立地や地域の医療体制により、学生にとっての実習環境には地域格差が生じている。
本システムにおいては、学習者と指導者の実質的な距離は問われない。
従って、本システムが市場に出た場合、全国の看護学生に対して格差の無い教育が保障できるという意義は大きい。