遠隔では困難とされる造形芸術(美術科)実技教育の実現と教授法の確立 ―パンデミック下でも世界のアート教育を持続可能とするために―
大学
共立女子大学 文芸学部/ 香川大学 創造工学部
代表者名
小笹澪
チーム
文芸学部 谷田貝研究室/ 創造工学部 米谷研究室
応募カテゴリ
教育(学習)方法
研究タイトル
遠隔では困難とされる造形芸術(美術科)実技教育の実現と教授法の確立 ―パンデミック下でも世界のアート教育を持続可能とするために―
研究内容の概要
現在のパンデミック下で本学は、造形芸術実技教育が極めて困難な状況である。同様の受難は世界中の芸術学徒に起きている。本研究では、長年指導案として多くの指導法術が蓄積されている中等教育美術科の指導内容をモデルとし、遠隔環境では困難とされる造形芸術実技教育を、多様な映像通信機器群(市販品から視線が分る立体映像などの先端試作機まで)を併用し、協力高校と連携し実践的かつ効果的な遠隔教授法術の確立を目指す。
支援対象
1.支援している活動:中等教育, 高等教育, 生涯学習, その他 造形芸術創作活動
2.学習内容:その他 造形芸術(美術科)実技教育
3.支援の意図:知識の習得, 理解の促進, スキルの獲得, 学習データの分析, 学習周辺コストの軽減, その他 遠隔による実技指導
4.学習規模:小グループ
研究の斬新さ、独創的な点
本研究では世界で谷田貝研究室にしか存在しない「裸眼3D視線一致型テレビ会議システム」の試作機を使い、現行のテレビ会議通信では欠落している制作過程の伝達に欠かせない立体視や通信者双方のゲイズアウエアネス(視線方向の理解)環境を実現する。市販の360°カメラや複数台のカメラを併用し自由視点や同時複数視点を通信者双方に提示する遠隔環境も構築し、これらの機器の最適な組み合わせを比較学習評価分析により探る。
研究が与える影響
単に本研究室にしかない先端試作機を活用した最適遠隔教授法術を開発するに留めず、比較のため市販機器群のみを活用した遠隔教育環境も構築し、先端試作機利用時と何が違い、何を補えば一定の教育効果が得られるのかを明確にし、汎用遠隔教授法術についても探る。
以上よりパンデミック下の遠隔教育はもとより、遠隔地の大家や著名な指導者からの教育機会の拡大、および容易に世界をつなげた多様な交流造形教育が展開可能となる。
研究の社会的価値
未来のパンデミックにおいても新たなICT機器を駆使し、より豊かな遠隔造形芸術教育を可能とする社会の礎を築くものである。また学校教育にとどまらず、地方生徒の芸大受験格差を埋める遠隔教育や、芸術系カルチャースクールにも援用できる。例えば、中等教育における粘土造形単元を、陶芸教室向けに再構築し、制作指導に必要な材料や器具と遠隔教育に必要な機器や指導書をシステムパッケージ化し各教室に販売することもできる。