伝統文化(いけばな)と異分野コラボレーションによる新しい展示方法および主観・客観評価方法の開発
大学
共立女子大学大学院 文芸学研究科
代表者名
加藤藍
チーム
谷田貝研究室
応募カテゴリ
評価方法
研究タイトル
伝統文化(いけばな)と異分野コラボレーションによる新しい展示方法および主観・客観評価方法の開発
研究内容の概要
伝統文化であるいけばなは、近年衰退傾向にあり存続のため他分野とのコラボレーションが試みられているが、好事例が少ないのが現状である。よって、新たな展示方法とその評価方法を開発する。
いけばな経験者と未経験者双方の鑑賞評価を比較可能とするために、各作品の主観評価を質問紙により取得し、客観評価をアイトラッカーにより各作品鑑賞時の注視点より取得する。各展示作品の両評価を多変量解析手法で分析し比較検証する。
支援対象
1.支援している活動:中等教育, 高等教育, 生涯学習, 日常的学習, その他 伝統文化 お稽古
2.学習内容:その他 伝統文化と異分野のコラボ企画展
3.支援の意図:理解の促進, スキルの獲得, 疑似体験, 学習データの分析, その他 伝統芸術作品の一般化された評価方法の開発
4.学習規模:その他 展示会規模(教室規模から無制限規模相当)
研究の斬新さ、独創的な点
伝統文化における効果的な作品展示方法を科学的視座から分析評価した例は皆無である。多くの伝統文化は科学的な手法とは縁遠く、むしろ排他的感性的であるがゆえに過程や成果の評価は科学的手法を退けていた。応募代表者は華道家元池坊いけばな教授を所持する華道家で、かつ教育工学分野にて研究活動を行っている。このことから、指導的な立場でいけばなを創作展示し評価可能で、かつ科学的な手法でこれを多角的に分析評価できる。
研究が与える影響
多くの伝統文化は分野や流派はもとより、小さくはお稽古教室単位で作法・所作・制作・鑑賞などの評価基準が伝統的かつ形式的に定められている。これを同じ価値尺度を有しない一般大衆へ拡張子し、かつ異分野コラボレーションをはかろうとする場合、伝統文化側の視座や基準はもはや有効ではなく、一般化した新たな評価基準が必要である。従って、教育工学の科学的手法により伝統文化(いけばな)における新たな評価方法を開発する。
研究の社会的価値
本研究の成果は、取り上げたいけばな以外にも造形的な書道はもとより、茶道や香道などの空間美を重んずる伝統芸術にも転用可能である。
また、本研究は、敷居が高いと考えられる諸伝統文化を、歴史ある形式を尊重しつつ、異分野とのコラボレートを通じ、広く一般に間口を広げ身近にするための試みである。特に衰退期にある伝統文化については、存続のための方策を一般化された科学的手法で評価分析できる点に大きな市場性がある。