「誤答に対する共感的作問」 の提案と演習環境の設計・開発
大学
広島大学
代表者名
藤田隆雅
チーム
学習工学研究室
応募カテゴリ
システム・ツール・アプリ
研究タイトル
「誤答に対する共感的作問」 の提案と演習環境の設計・開発
研究内容の概要
問題解決演習において、解答に行き詰ったり誤答を導出した学習者に対して解法の再教授を行うだけでは演習の本来の目的である知識の定着が達成できない恐れがある。本研究では、こうした知識を定着させるための手法の一つとして「他者の主張を合理的に解釈する」ことを意味する共感的理解をとりあげ、共感的理解に必要とされる自身を振り返る思考を含めた作問演習を設計し、その開発を行った
支援対象
1.支援している活動:中等教育, 高等教育
2.学習内容:物理
3.支援の意図:理解の促進, メタ認知の促進
4.学習規模:個人
研究の斬新さ、独創的な点
自身の思考を振り返るという、批判的思考やメタ認知的思考はそのあいまいさから、教授者による評価が困難であり、また振り返り方も多岐にわたることから一斉教育ではこうした思考を教えることが難しいとされている。本研究ではこのあいまいな思考を具体的な課題として設定することによって課題の成否をもってこれらの思考が適切に行われたかを判定することが可能になり、批判的思考やメタ認知的思考に客観的な尺度が備わる。
研究が与える影響
単に問題解決演習を実施することでは正確には問うことのできない、自身の思考に対する理解や説明を必要とするため、問題や解法に対する深い理解をもたらす。また、従来の演習と比べ、問題を解くために必要な知識を認識しながら解答を進めることを要求されることから、より少ない問題数で該当単元に必要な知識を獲得できると考えられる。
研究の社会的価値
批判的思考やメタ認知的思考、それらを必要とする共感的理解自体は力学の範囲に限らず、さまざまな分野において深い理解をもたらすために利用可能かつ有効な手段であり、これらを行うための技術を獲得する本演習によって思考を振り返るという活動の基盤を構築することが可能となる。また、思考に対する振り返りの達成を判別できるようになったことから、このような思考を教授する難易度及び不均一性を緩和させることが期待される。